040藤野恵美さん
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藤野恵美さん

02

土笛、ネコちゃん。「自分で作りました。ネコちゃんは私の分身。トレードマークです」

03

ピアノを弾きながら歌う恵美さん。

04

大切なもの

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ピークアクションの渡邊文昭さんと。

藤野恵美さん

めぐりめぐる普遍的なものを音楽に表現したい

ピアノを弾きながら歌う藤野恵美さんの声は、音量をおさえた静かな響きが美しい。
丁寧に歌いあげていく消え入りそうな高音がせつなく心にしみる。
不思議な空気感がただよう絵画のような音楽だ。
感情の浮き沈みが激しい。それを浄化するのが音楽。恵美さんは、自分にとっての音楽をそう話す。
「だからなのでしょうね、蓮の花にひかれます。蓮は見ていると心が浄化するような思いになります」
自然界の倫理のようなものに惹かれる。
記憶の中にある原風景のようなもの、めぐりめぐる普遍的な思いを音楽に表現していきたいという。
メロディが先、詞はあとから自然についてくる。その時の気分で伝えたいものが音になっていく。
「はじめて音が言葉になっていくとき、あ、生まれたなって思います」という。
恵美さんは、宇都宮短期大学の音楽科、電子オルガン専攻科を卒業。
学生の頃は、作曲には興味がなかった。
完璧なプレーヤーを目指しており、音をくずすことができなかったという。そんな学生生活の中で、長い間ヨーロッパに住んでいたピアノの講師と巡り会う。そのときにはじめて音の色彩を感じる音楽と出会ったという。少しづつ変わっていく音楽への思い。
「北欧の音楽、特にシベリウスの『樹の組曲op.75』が好き。ヨーロッパの人は小さい音を大切にし、いかに大事に弾くかに心をこめる。魂の普遍性というんでしょうか、それを受け継ぐことや自分たちの国を大事にする心を感じます」そんなところにもあこがれるという。

大切な音楽の仲間たち

ライブハウス「ピークアクション」で、スタッフの渡邊文昭さんを交えて話を聞いた。
「恵美さんと初めてあったとき、ああこの人は音楽で呼吸をしているな、と感じました」と渡邊さん。
「渡邊くんには時々ピアノ伴奏をしてもらいます。ピアノ伴奏は信頼していないと頼めない。彼の弾くピアノは人柄が出てやさしい音色です」という。
「ここに来るとホッとします」と恵美さん。
音楽をするために特別、学校に行かなくてもみんな、懸命に自分の音楽をしている。この人のここがすごい、そんなふうに仲間から学ぶことはたくさんあるという。
うまい、へたでは聴かない。人が見えるか見えないかで心が動く。
音からも人が見えてくる。奏でる音に人柄が出る。
恵美さんは、他にバンドをふたつ組んでいる。
「RODS(パートはBa=ベースとcho=コーラス)とRepeat(パートはVo=ボーカルとkey=キーボード)というバンドです。メンバーとの出会いは自分の音楽性を変えていきました。彼らの音楽に対するストイックな姿勢に惹かれます」
恵美さんにとってバンドのメンバーは家族のように大切な存在。自分がこうして音楽をやれるのは、回りの人の支えがあるからこそだという。
「小さな夢が叶うのも、90%は繋がっている人のおかげだと思う。あとの10%は自分がずっと強く思って心にとめておくから。そんなふうに思います」

教えることは自分の思いを伝えること

恵美さんは、音楽の先生でもある。
「小さい頃からエレクトーンを習っていました。その時の先生が素敵で優しくて大好きでしたね」
将来は、自分も先生のようになりたい、音楽を教えることがしたい、と強く願うようになる。
夢が叶い、数年前から鏡石の自宅でピアノとエレクトーンの音楽教室を開いている。
「生徒さんは、4歳から高校生までいます。音楽には性格が出る。ときどき昔の自分を見ているような気持になりますね。教えることは自分の思いを伝えることだと思います」
世の中で一番緊張するのは、子供たちの音楽発表会だという。自分が仕事で演奏するより、ドキドキしますと笑った。
「私の母は、手芸など作ることが好きな人。木目込み人形の師範の免状を持っていて、昔は近所の方が習いにきていました。作る人の思いがあって一つのものが生まれる。音楽も同じなんだって気付きました。ずっと音楽を習わせてくれた両親に感謝しています」
時々、ご両親をコンサートに誘う。
「年に一度は、来日楽団などの演奏に一緒に行くようにしています。ニューイヤーコンサートにもできるだけ連れていきたい。両親も楽しみにしているようなので嬉しいですね」
お母さまと大の仲良しだという恵美さん。ご両親への思いをやわらかな笑顔で話してくれた。kマーク