065暮しの器むぎわら
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ご主人の松崎講二さん。
篤子さんとはテニスが縁で知り合ったそうです。
出会った頃の篤子さんの印象は?
「明るくて周りへの気配りが出来る女性でしたね。料理の好みが同じなのがいちばん嬉しいです」

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奥さまの松崎篤子(とくこ)さん。
「職場の仲間とテニスサークルに入っていたのですが、主人はそこでテニスの監督をしていたんですよ。歌が上手で周りの雰囲気を和やかにしてくれる人でした」

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暮しの器 むぎわら

むぎわらギャラリートーク「お話と食事の夕べ」

秋の日の夕暮れ、「暮しの器 むぎわら」で開かれた「お話と食事の夕べ」に参加した。
お話をされたのは「工房ととか」の菊地克典さん、智子さんご夫妻。お二人は長野県筑北村で漆器、陶芸の創作をしている。
ギャラリートークではお二人それぞれの仕事への思いを日々の暮らしや食を通してわかりやすく話してくれた。参加された方の素朴な質問などにも快く応じ、時おり笑い声が起きるなど、和やかな雰囲気の中で進められた。お話の後の夕食会では、旬の料理とお酒、お茶などをさまざまな器で楽しみ、秋の夜長のひとときをゆっくりと過ごした。
「暮しの器 むぎわら」は、2008年10月にオープン。今年で4年目を迎えた。
「私どもの店は、主に普段使いの器を扱っています。日本人は、昔から食と器の関係を大切にしてきました。命を育む食をいただく器は、温もりがあり美しいものであってほしい。気に入った器を毎日使うことによって料理をする楽しさ、いただく嬉しさ、使う喜びを感じてほしいですね」
店主の松崎講ニさんは、穏やかな声で丁寧に話をされる。傍らで奥さまの篤子(とくこ)さんが静かに頷きながら微笑まれた。

画家、渡辺俊明先生との出会い

「焼物を好きになったのは私たちの結婚のお祝いに友人から酒盃セットをいただいたことがきっかけです。気に入った盃で飲むお酒はとても美味しくて、楽しくなることに気づきました」
器は使ってこそ、毎日の使い方で生きてくるもの。食と器は本来、一体なのではないかと松崎さんは言う。
「30代の頃、画家の渡辺俊明先生に出会いました。生前、先生は器の絵付けもされ、自由奔放な線で何気ない器を普段使いの魅力的なものに仕上げていました。先生は日常生活そのものを大切にされ、美しいものは日々の営みから生み出されることを信条にしていました。私には毎日の生活を丁寧に生きることの大切さを教えてくれました」
松崎さんは、先生との交流の中で、いつか器を扱うお店を持ちたいと強く願うようになっていく。
34年間勤めた会社を退職したのは、あと数年で定年という時だった。お店をスタートするのはまだ身体も健康で元気なうちがいい、今がいいと思った。
「子どもの頃、近くの麦畑で遊んだり地粉の小麦まんじゅうをよく食べました。思い出すとなつかしい気持ちになります。焼き物では、「むぎわらで」という紋様の器が大好きです。お店の名前『むぎわら』はそんな思いからつけました」

テーブル展へのお誘い

松崎さんは、各地の作家たちとの交流も深く、心にとまった作品を丁寧に紹介している。ひと月に一度のペースで開かれるテーブル展では、使うのが楽しみな器たちが並ぶ。
「テーブル展は、ひとつのテーブルの上に一人の作家さんのものを展示するいわばミニ企画展です。できるだけ多く開催してお客様に楽しんでいただけたらと思います」
展示するスペースは広くはない。けれど日常の暮らしに欠かせないテーブルの上に置かれた器たちはどこか嬉しそうに微笑んでいるように見える。
作り手の思いとそれを届けようとする店主の人柄が伝わる素敵な企画展だ。
「私は展示会などで心にとまった器を見ると、どんな人が作っているのだろうと直接お会いして話をしたくなります」
作り手の姿勢に共感し、その感覚に自分の思いを重ねることができる人たちとの出会い。それは松崎さんの一生の宝ものだ。
「いつかやりたいことがあるんですよ。今、頭に描いているのは、コーヒーと器展です。カフェの方に美味しいコーヒーを煎れてもらい、好きな器で召し上がっていただく。器を展示するだけではなく志を同じくする人たちとお互いにできることでコラボレーションをしたい。だって楽しいですものね。楽しいことには人が集まります。集まって楽しい時間を過ごすだけでもいいのです」

篤子さんの料理と好きな器でいただく幸せ

3.11の震災、原発事故以来、これまで時間をかけて築き上げてきたものが崩れてしまいました。近くの里山も放射線に汚染されたままです。
「これから先、四季折々の山菜や旬のものにも気を使わなければならない。それが悔しく残念でなりません。でもこのような時だからこそ、毎日の食事やそれに寄り添う器を大切にしていたいですね」
松崎さんは、篤子さんの作る日々の料理を時々ブログで紹介しています。
「主人がその日の夕食から何品か選び好きな器に盛って撮ります。ただ、前もって打ち合わせをするわけではないので、えーっこれを撮るの?と思う時もあります。主に旬の野菜を使った料理が多いですね。季節のものを美味しくいただくなど二人とも若い時から料理の好みが同じなんですよ」と嬉しそうに話される篤子さんです。
「むぎわら」では、地震により多くの器が壊れました。松崎さんはその中で使えそうなものには金継ぎをして自宅で使うことにしました。もし、復活したい器があれば声をかけてほしいとニッコリされました。kマーク

2011.11.25 取材

暮しの器 むぎわら
郡山市桑野三丁目11番7号オフィスプラザ1階
TEL・FAX/024-934-5804
営業時間/AM10:30〜PM18:30
定休日 /水曜日
駐車場 /有り