このサイトは2001年〜2007年に取材、掲載したものです。現在の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

骨董倶楽部(こっとんくらぶ)AIZU

モノの値打ちとはなんだろう。ほの暗い店内に並べられたモノ達が答えを迫る。

大広間

ブリキのロボットの肩に白熱灯が鈍く反射する。ジッと見つめていると、今にもゆらりと動き出しそうだ。

天主の間

香水瓶の背後にあるテレビは今も現役。画面を見ていると、異空間に迷い込んだような錯覚におちいる。

十楽

1個1個のモノに価格がきちんと付いている。
中古品もあるが、ほとんどは使われないまま時代を重ねてしまった新品だ。

遺品

店名を記したバーランプ。
店名は、映画の「COTTON CLUB」から「古き佳き時代」の意味を込めて名付けた。

夢のあるガラクタ達が待っている。

中身がなくなった香水瓶。
時代遅れのポータブルテレビ。
すり鉢に秤、糸巻き車、
何10年も前には現役だった道具達。
優雅なバラを描いたティーカップは縁がかけ、閉店した店の名前が入った温度計が現在の室温を示している。
伊万里の小皿。
タイやインドネシアのアクセサリー。
50’sを思わせるアメリカンなインテリア。
ヨーロピアンな食器類。
時代も国籍もさまざまなモノ達。
それらのモノ達が蔵の一角に集められ、ほの暗い白熱灯に照らされて、ここにある。
お客はほとんどが地元の高校生の女の子達だ。
彼女らは指輪を1個1個取り上げて、真剣な眼差しで見つめては戻し、さんざん悩んだ挙げ句、小さなペンダントトップを買っていく。
「学校でブームらしいよ」
それはなぜなのだろうか。
「たぶん、自分だけのオリジナルが欲しいんだね」雑誌に載っているような流行の小物は、たいていが手に入る。「個性的なファッション」が流行になり、真の個性はなくなった。
だからこそ、彼女らは「自分だけのオリジナル」を時代を重ねたモノや異国のモノに求める。
それだって「流行」になってしまえば、「自分だけのオリジナル」ではなくなるだろうに。
いったい、モノの価値とはなんだろう。
「骨董倶楽部」の薄暗い店内で、モノ達が答えを迫っているような気がする。

「モノの価値や役割をとらえ直す」
と宇田さんは言う。それはアレンジすること、発想を転換することだ。
中身がなくなった香水瓶は、「香水瓶」としては使えない。だけど、形が美しい「ガラスの小瓶」としての価値がある。何年も前のすり鉢を「すり鉢」として使う人はいない。だけど、花を活ければ「花器」としてよみがえる。
本来の価値がなくなっても、本来の役割を果たせなくなっても、「とらえ直す」ことによって、新しい価値や役割がモノに与えられる。
だから、ここにあるモノには夢がある。
「夢があるモノを手頃な価格で売りたい」と宇田さんは語る。
骨董品屋を開くために、モノを集めていたわけではない。実は宇田さんは近くにある喫茶店「蔵」、郡山市にあるレストラン「開成館」のオーナーだ。
「確かに骨董品は好きだった。でも、最初は喫茶店のディスプレイのために集めていた。だけど、たくさん集めすぎてしまった」
だから、考え方を「とらえ直す」ことにした。集まった骨董品で「骨董倶楽部」をつくった。
確かに宇田さんは、モノをとらえ直すことがうまい人なのだ。

map

骨董倶楽部(こっとんくらぶ)AIZU

会津若松市大町1-1-46
TEL(0242)27-0092
営業時間/AM10:00~PM5:00
定休日/無休