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満田屋

江戸時代末期のみそ蔵を改装した店内で、会津名物のみそ田楽を。
失われてしまった商家の心意気、人の手のぬくもりがここにある。

十割そば

田楽を注文すると、店内の囲炉裏で手早く焼いてくれる。手前のにしん鉢には、4種類のみそが入っている。

食器

味噌田楽Aコース 1,200円
こんにゃく・豆腐生揚げ・まる餅・しんごろう餅・里いも・身欠きにしん・しいたけ・ししとう。

南蛮めし

みそ屋としての創業は江戸時代末期。
約160年の歴史を持つ老舗だ。みそ蔵を改装してみそ田楽の店をはじめて30年程になる。

店内

女将さんが考案したという満田屋オリジナルの「会津辛みそうぃんなあ」(1串)190円
ピリッとした辛味がビールに合う。

みそ田楽で会津情緒を満喫。

「昔は『こびる』だったんですよ」
注文された串をテキパキと囲炉裏に突き刺し、焼き具合を見ては返しながら、満田屋の女性は言う。
こびる。今でいう「3時のおやつ」である。
串に刺した餅や野菜、乾魚をみそだれに漬け、炭火を使って、囲炉裏で焼く。冬はもちろん、夏でも囲炉裏を使う。夏は熱さで顔がほてると言う。
「だけど、炭火じゃないとダメなんですよね。ガスは表面を焼くだけで、餅や野菜の中まで火が通らない。焼き色も全然ちがう」
みそ田楽は昔、花見や縁日、峠の茶屋などで庶民の食べ物として親しまれてきた。農作業や家業の合間に手を休めて、みんなで囲炉裏を囲む「こびる」の食べ物だった。
客が訪ねてくれば、席を進め、焼き上がった田楽をすすめ、話に花を咲かせたのだろう。家をきりもりする主婦は、串に餅や野菜を手早く刺して、また囲炉裏に並べたのだろう。 田楽には「人の手のあたたかさ」がある。
砂糖みそ、柚子みそ、山椒みそ、じゅうねんみそ、もろみだれの5種類のみそを素材によって使い分ける。
みその風味を楽しみながら、餅のやわらかさを堪能する。毎朝ついているというまる餅。新米ができると必ずつくったという下郷町の名物・しんごろう餅。味噌の風味を楽しみながら、餅のやわらかさを堪能する。こんにゃくや生揚げなど田楽ではおなじみの素材のほか、身欠きにしん、ししとう、しいたけもある。
田楽に合う辛口の地酒もそろえてある。みそ蔵を改装した店内で、田楽を肴にぐい呑みで地酒を味わえば、会津情緒を満喫する時間を過ごせるだろう。

七日町通りに交差する桂林寺通りに満田屋はある。白い蔵造りの建物。藍色の地に「味噌」と白で抜き取った大きな暖簾。その構えには威風堂々、あたりを払うものがある。
創業160年のみそ屋だ。今も天然醸造のみそやしょう油、手絞りの菜種油、胡麻油、みそ漬け、もろみ漬けなどを扱う。
黒光りする柱、掃き清められた土間。そこにはみその香りが染みこみ、ずっしりとした「年代」が見えない帳のように落ちている。
それは商家の心意気なのか、それとも会津人の矜持なのか。
店の奥から聞こえてくる家人の話し声。従業員と取引先の会話。
着る物が洋服に変わっても、若い従業員が流行の言葉を使い、周囲の風景が変わっても、満田屋の核にあるものは変わらない。会津名物の田楽と情緒を愉しめる店として、何回も観光ガイドに取り上げられ、多くの観光客が押し寄せても、それは変わらない。
いや、変わらないからこそ、多くの観光客がここを訪れるのだろう。
今は失われてしまった、昔の商家の心意気を求めて。素朴な「人の手のぬくもり」を求めて。

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満田屋

会津若松市大町1-1-25
TEL(0242)27-1345
営業時間/AM9:00~PM5:00
定休日/第1・3水曜(1~3月は毎週水曜)
主なメニュー
●田楽Aコース 1,200円
●田楽Bコース 800円
●三色もち 300円
●地酒(ぐい呑み)300円