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あっち、こっち。
取材人カメが、散歩の途中や旅先で出会った人たち、お店、カフェ、景色などを写真と文章で綴ります。

リボンのパスタ

わたしは、パスタをうまく食べられません。
フォークとスプーンを上手に使って食べている人を見ると尊敬さえします。お箸が用意されていると安心します。
ああ、お箸を使ってもいいんだな、と急に元気になりモリモリといただけます。
先日、「カフェペスカ」に行ってきました。
若いご主人と奥さまのお二人で営むイタリアンレストランです。
黒板に今日のおすすめがいくつか書いてあります。
その中で見なれない名前のパスタがありました。
奥さまに訊ねるとチョウチョのようなリボンのようなパスタらしい。コレコレコレダッと思いましたよ、わたしは。
アスパラやスナップエンドウ、トマトなどの野菜が入ったクリームソース味のパスタです。
塩味もやさしくクリームの旨味もほどよくて、今の季節にはピッタリでした。
リボンのようなパスタをうっとり眺めながらマイペースでゆっくりと食べられるのが何よりも嬉しい。
美味しく楽しい幸せなひとときでした。
パスタの名前がなかなか覚えられないわたしは、秘かに「リボンのパスタ」と呼んでます。

2010.08.25

金継ぎの器、生まれ変わるものたち。

「珈琲さらぬま」でランチタイムを過ごしてきました。
火曜日から金曜日、毎日10食限定のランチは、オーナーの横田さんの手作りです。
お昼どきの店内は、まるでお母さんがご飯の支度をしているようないい匂いがします。
ひとつひとつゆっくりと味わい、食後の珈琲を飲みながら店内をながめていると、金継ぎが施された一枚のお皿が飾ってあるのを見つけました。そこには、女の子が描かれていました。ひび割れた模様が女の子のおさげ髪のようにセンスよくデザインされていて楽しい絵皿です。
思わず、ああいいなあ、と声に出していました。
すると横田さんが隣の部屋からいくつかの器を抱えてきました。
「これは全部、金継ぎをしたものです。みんな古いものですが、こうして金を入れていくとまた違った味わいが出ていい感じになるんですよ」
ある先生から手ほどきを受けながら、全部ご自分で金継ぎをしたことを話してくれました。
欠けたところ、ヒビが入った部分にそれぞれ金を施され生まれ変わった器たち。ひとつひとつ手にとってながめていると時間が経つのを忘れてしまうのでした。

2010.08.11

鮨好きもいろいろ

知り合いにお鮨の好きな人がいます。
その人は、なんと握り鮨をたのむとまず鮨ネタをひとつひとつ取っていくのです。ネタのない握りだけがズラリと並び、そのわきに鮨ネタが所在なげに置かれていきます。
ちょっと奇妙な光景に目を見張り、何故わざわざそんなふうにして食べるのかを聞いたことがありました。
自分は、酢めしは酢めしのままで食べたいんだということです。
それならば、ちらし鮨を頼めばいいのではないか?
そう問いかけるとこう答えました。
「ちらし鮨だと醤油をかけると酢めしがパラパラとこぼれちゃうんだなあ。なによりも口に入れるとちょうどいい大きさに握ってあるこの感じがいいんだなあ」
そして、うれしそうな顔でポイポイと酢めしを口の中にほおりこみモグモグと食べ終えたあと、おもむろにエビ、つづいてマグロをパクリと食べたのでした。
へー、そうかあ。世の中にはいろんな食べ方をする人がいるんだなあと思ったものです。

2010.07.20

おいしい漬け物のある店

旅先で歩き疲れてくると漬け物とお茶が欲しくなります。
新潟県の阿賀野市で、お寿司屋さんに入りました。
寒い冬の日でした。カウンターと小上がり席があるこじんまりとしたお店です。ご主人と奥さんのお二人が笑顔で迎えてくれました。熱いおしぼりで、かじかむ手をあたためていると奥さんが「どうぞお召し上がりください」とのっぺい汁を出してくれました。
のっぺい汁は、里芋やにんじん、ごぼう、大根などの根菜類とこんにゃくなどをだし汁で煮る新潟の郷土料理です。
薄味で野菜の旨味がほどよく出ていて、汁ものだけれど煮物のように常温でいただくのっぺい汁は、本当においしい。
ご主人がお寿司を握っている間に奥さんは、漬け物も出してくれました。見るからに旨そうな白菜とたくわんです。
「わあ、うれしい」思わず声が出てしまいました。まるで私の胸の内をわかってくれているようなタイミングです。抜群の漬け具合の白菜とたくわんは、奥さんの手作りだということでした。
手作りの漬け物を出すお店は、料理もうまい、ということが自分の中でのひとつのささやかな基準でもあります。

2010.07.07

レモンスカッシュ昔ばなし

その昔、レモンスカッシュは値段も高くちょっとお洒落な飲み物でした。
若いカップルのデイト代は、男性が払うのが当たり前の時代でした。喫茶店に入り、女性が何を頼むかがちょっとドキドキの男性の胸の内です。珈琲、紅茶、ミルクなら一安心。
「レモンスカッシュがいいわ」などとニッコリする彼女に何くわぬ顔でうなずくものの内心はおだやかではない彼。
うーむ、この娘は贅沢志向なのか…、などと少しばかり気持ちが引き気味になったとかならないとか。
レスカを注文する女子には用心せよ、女子も何を頼むかには心するべし、などの文章を雑誌で読んだこともありました。ちなみにレスカはレモンスカッシュのことです。
今は、デイト代もカップルによっていろいろです。男性が払うのが当たり前という時代ではなくなりました。レモンスカッシュを出すお店も少なくなりました。
数日前に、「カフェさらぬま」を訪ねました。
小さなアルバムのようなメニューをめくると、レモンスカッシュがあり迷わず頼みました。
蒸し暑い梅雨どきに、レモンの香りと酸味がソーダ水に溶けこみ心地よく身体をリセットしてくれるようでした。

2010.06.30
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