このサイトは2001年〜2007年に取材、掲載したものです。現在の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

やまでら茶屋

米屋の餅と菓子屋のまんじゅうが味わえる、モダンな雰囲気の「和風カフェ」。

つゆもち

つゆもち(500円)自家焙煎コーヒー(500円)
天然水を使っているのは自家焙煎コーヒーのみだが、水道の水も充分おいしい。会津の水のおいしさを感じさせる。張子人形「天神様」(12,000円)

店内

木のぬくもりを感じる店内。
テーブル席のほか、カウンターもある。地酒もそろっている。地酒ぐいのみ(300円)。今度はカウンターで愉しんでみたい。

骨董品

軒先から通路にまで置かれた骨董品。ベーゴマなど、懐かしい品もある。ビニール袋に入った野菜や生花は、近くの農家のものを置いている。観光客よりも地元の人が多く買っていくという。

エスプレッソからこぶ茶まで揃う「和風カフェ」でひといき。

正午過ぎに伺ったからだろうか、小さな茶屋の店内は慌ただしかった。とりあえず、お話を伺うのは後にして「つゆもち」と「山菜そば」、そして自家焙煎コーヒーを注文した。
「つゆもち」の餅がうまい、と餅好きのカメラマンが言う。すると手を休めないまま奥さんが言った。
「そりゃあ、うちは米屋ですから」
ご主人の家は昔から米屋を営んでいる。茶屋で出している餅は、米屋が衝いたできたての餅だという。なるほど、うまいわけだ。機会があったら、自家製あんを使った「田舎しるこ」や「ぜんざい」も試してみたいと思った。
追加で「天ぷらまんじゅう」を頼んだカメラマンが、まんじゅうもうまいとつぶやくと、
「あ、それは実家のまんじゅうです」
と奥さん。奥さんの実家は通りを挟んで向かい側にある菓子屋だという。
「鰊の山椒漬け」「天ぷらまんじゅう」など、会津の郷土料理から奥さんの手づくりカレーまで、店のメニューは様々だ。コーヒーやビールのほか、ほうじ茶やこぶ茶もある。「やまでら茶屋」は、お年寄りから若い人まで気軽に立ち寄ることができる「和風カフェ」なのだ。

会津に生まれた米屋の息子と菓子屋の娘。
故郷に戻った二人は茶屋をはじめた。

店内には時代着物や食器、古民芸などの骨董品が所狭しと飾られていて、どこまでがディスプレイで、どこからが売り物なのかも分からない雰囲気だ。しかし、決して雑然とはしておらず、むしろモダンなセンスを感じさせる。
そのディスプレイの中にベースを見つけた。そういえば、店内に流れるBGM もジャズだ。
天然水でいれるという自家製コーヒーを出してくれたご主人に訊ねると、
「ときどき大町四つ角のライブハウス『スイング・スクエア』で、仲間とやってますよ」
という返事が返ってきた。
ご主人は落ち着いた雰囲気の人だが、もしかすると演奏のときは静かに燃える人なのかもしれない。奥さんはハキハキとして現代的な印象だが、芯に秘めた「強いやさしさ」のようなものを感じさせる人だ。
昔からの知り合いなのかと思いきや、出逢ったのは大学時代なのだという。
会津に生まれ、会津で育った米屋の息子と菓子屋の娘は故郷を出て、異郷で出逢った。そして、故郷に戻り、結婚し、二人で茶屋をはじめた。
「会津のために」などと、二人は言わないだろう。しかし、飾らない笑顔で「和風カフェ」を経営する二人の姿に、新しい会津の息吹をかいま見たような気がした。

map

やまでら茶屋

会津若松市七日町3-32
TEL(0242)26-8079
営業時間/AM11:30~PM7:30
定休日/毎週火曜・第2水曜