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外観 会津印吉の川

地元の居酒屋や家庭で一般的に愛飲されている「会津印吉の川」 1.8L 1,130円。

純米酒 吉の川

純米酒 吉の川 720ml 1,300円

石の重り

昔ながらの製法を守り、タンクを木蓋で蓋をし、石の重りがのせられている。

天井

約80年前に建てられた蔵の天井には、何十本もの通しの梁がある。

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合資会社 吉の川酒造

昔ながらの酒造りを極めた、地元なじみの蔵元。

喜多方市字1-4635
TEL(0241)22-0059

喜多方門外不出を原則とする地元蔵。

吉の川酒造は明治3年に創業、過去に全国名誉賞を受賞した由緒ある蔵元だ。
「うちのお酒の出荷の98%は、喜多方市内の問屋さんに卸しています」
七代目蔵元・冠木さんのその言葉に驚いた。なぜ日本酒ブームで全国の日本酒ファンが多いなかで、地元だけに限っているのだろうか。
「地元の人たちに信頼される蔵でありたい、ということが蔵元代々の願いです、おいしくないという評判が立ったらやっていけない。そのくらいの覚悟を持って酒づくりをしています」そう語りながら、冠木さんは蔵を案内してくれた。

徹底した精米から始まる酒造り。

吉の川酒造には、昔から変わらぬものがふたつある。ひとつは代々受け継がれる地元のための酒造りの精神。もうひとつは、人の手を介してつくるという酒造りの工程だ。
酒造りはまず、喜多方で育った酒造好適米の五百万石を自社精米することから始まる。水は飯豊山の伏流水である井戸水のみを使用している。
精米機はもちろん、精米の技術には米屋以上のこだわりがある。一粒の米から酒が生まれる以上米が大切であることは当然だが、吉の川ではそれが徹底されている。
広い敷地には6つの合掌造りの蔵があり、そこで仕込みが行われる。中には80年以上前に建てられた蔵もあるが、立派な通しの梁が天井を覆うように何十本も使われているため、今でもしっかりとした蔵構えを保っている。
麹室には、温熱器とダクト以外に機械らしきものが見当たらない。代々に伝わる昔ながらの製法で、人の手を介しているのだという。仕込蔵ではタンクに木蓋で蓋がされており、その上に石を重りとして使っている。
数ある酒の種類の中でも一番売れているのは二級酒といわれる「会津印吉の川」。地元の居酒屋のほとんどの店で扱っており、地元の人が晩酌として飲んでいるという。だがこの酒は、これが二級酒かと疑うほどキメが細かく香りが良い上質の酒だ。
全国品評会で何度も受賞しているこの蔵は、喜多方でつくられ、喜多方でしか買えない。まさに喜多方に根付いた地酒をつくる蔵元だった。