このサイトは2001年〜2007年に取材、掲載したものです。現在の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

小林さん

▲小林賢さん

工事

▲護岸工事。会津の石を使い、昔の方法で修繕していく。

剪定バサミ

▲剪定バサミ。「もちろん手入れも自分でします」

庭園

▲手入れが行き届いた庭園。

人気者

▲3月に生まれたばかりのカモのひな。「ここの人気者です」

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御薬園

会津若松市花春町8-1
TEL0242-27-2472
開園時間/8:30〜17:00(入園16:30まで)
休園日/7月第1月〜木曜、12月第1火〜木曜)
入園料/一般310円

歌人も訪れた日本庭園

「秋風に荷葉うらがれ香を放つ おん薬園の池をめぐれば」歌人、与謝野晶子が御薬園を訪れた時に、歌を残している。
会津藩2代藩主保科正経が、この地に別荘を設け各種の薬草を栽培したので「御薬園」と呼ばれた。3代藩主松平正容の時、本格的な遠州流の庭がつくられ、朝鮮人参を植え、広く民間にも奨励したという。
現在も、会津産薬草をはじめとする約400種の薬草、薬木を植栽しており、古木も数多くある。

「池は自然の水を使っています」

池の周りは護岸工事の最中だった。
「池の土が少しづつ体積してくるため水面が上がってくるので、補修が必要となります」庭園の管理長、小林賢さんに話を伺った。「昔の方法で護岸を直しています」会津の伝統的な修繕方法だという。「会津の石を使っているんですよ。機械を入れないで直すので手間も時間もかかります」小槌で土をたたく音が心地よく響く。

「500年生きてきた木をたかが10何年の私たちが枯らすことはできない」

会津出身の小林さんは、東京で8年間、造園の仕事をしてきた。「34の時に会津へ戻って来て御薬園の仕事について5年になります」古い庭は木が大きく育つ。剪定は小林さん一人でやる。「剪定は大好きです。楽しい仕事だけれどなかなか追いつかない」と笑う。
「我々の代で何かあってはいけない、そこに神経を使います」害虫には特に注意を払うという。「それに雪の害ですね。今年は特に目立つ。雪の重みで枝が折れ曲がってしまった松もありますが、皮が生きているから大丈夫。処置をしたので元気になってくれると思います」優しいまなざしで木々を見つめる小林さんだ。
「この庭園は国の文化史跡なので勝手に手を入れられません。スコップで穴を掘ることも出来ない。私の理想とは少しかけ離れたところで管理しなければならないことが苦労といえば苦労ですね」と穏やかに言う。

「ここには身近な薬草がたくさんあります」

庭園から歩いてくると幾種類もの薬草が目の前に広がる。その花たちはどれも楚々として愛らしい。初夏の光を一面に受けて気持ちよさそうにサワサワと風に揺れる。
「ほら珍しいでしょう、八重のドクダミの花ですよ」
真っ白な花びらを幾重にもつけた可憐な花に目を見張った。なんて可愛らしいのだろう。「ドクダミは別名、十薬(重薬)といって解毒作用があるんですよ。ここには身近かな薬草がたくさんあります」花々を見つめる小林さんの目が優しい。
好きな花をたずねてみた。
「ジャコウソウです。シソ科の植物で花は夏に咲きます。紅紫色の花で、揺すると葉や茎もほのかないい香りがするんですよ」そう教えてくれた。
小林さんの好きなジャコウソウの花に会いに今度は夏に来ます。ぜひまた案内してくださいね