このサイトは2001年〜2007年に取材、掲載したものです。現在の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

二瓶さん

▲二瓶正和さん

桐の花

▲桐の花。5月の半ばを過ぎれば桐の里は薄紫の花で一色になる。

カンナ

▲カンナ。道具の手入れも大切な仕事だ。

技

▲釘を使わない職人の技。

天日干し

▲桐の天日干し風景

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会津桐タンス

大沼郡三島町大字名入字諏訪ノ上394
TEL0241-52-3823 FAX0241-52-3828
営業時間/8:00〜17:00
定休日/日曜日

「桐の里」会津三島町

会津三島町は、尾瀬に源を発する只見川に沿った奥会津の静かな町。三島町には桐が数多く植栽されている。5月半ばも過ぎれば桐の花がいっせいに咲き始める。薄紫の花は初夏の風に揺れ、山も里も桐の花におおわれる。「桐の里」会津三島町の最も美しい季節だ。

今手塩にかけて育てられた極上の桐
金釘を一切使わない手の技が光る

「桐は材質が気密で光沢があり、防虫、防湿効果に優れています」
会津桐タンス職人、二瓶正和さんに話を伺った。「桐タンスは、幾世代にも渡りお使いいただけます。お客さまの要望に合わせてデザインし作ることもできますよ」
蟻組構造と呼ばれる釘を一切使わない手の技が光る。熟練された職人ならではの品格のある技だ。
「大切なのは、引き出しの作りです」と二瓶さん。木の微妙なそり具合に神経を集中するという。「桐は2年から3年、表でさらし渋を抜きます。雨水や紫外線にあてることでいい状態になるのですね」
タンスを作る上で大変なことは、道具の手入れだと言う。
「木が変型するとカンナがかけずらくなります。カンナの刃をいつもいい状態に保つことが一番大変ですね。以前、小物を作っている時にはよく怪我をしました。機械で指を切ったりね」カンナの刃に指をあてながらにっこりと笑う二瓶さんだ。

「ものづくりがこんなに楽しいとは思いませんでした」

二瓶さんは、会津若松市の木工業の訓練校に通っていた。
「木を切ったり、測量したり、山の仕事がしたかったのですが」学校を卒業したら森林組合から今の会社を紹介される。やり始めてみると胸が踊ったという。
「ものづくりがこんなに楽しいとは思いませんでした。下積み2年。桐タンスを作りはじめて18年になります」今、手掛けているタンスを完成すると493竿目になるという。
「毎回、ちょっとしたことだけれどどこかに不満が残る。自分が納得できるものを作るのは難しい」そう言って腕を組む二瓶さんは、現状に満足しない向上心の強い真面目な職人さんだ。
「以前、配達もしていた頃は、自分の作ったものを納品していました。お客さんの喜ぶ顔を見て感激しました。嬉しかったですね」と目を輝かせた。

「休みの日には、仲間と釣りに行きます」

職場には職人さんが4人いる。
「釣りの好きな人と時々一緒に海に行ったりもします」新潟の海や、近くの川に出かけるという。
「最近、釣ったのはイワナ。もちろん自分でさばいて料理しますよ」と楽しそうに言う。
一日の終わりには、焼酎で一杯。「父親と飲むのが楽しみですね」と笑った。
いつも自分に課題を課しながら日々、桐タンス作りに励む二瓶さん。これからもいい仕事をして下さいね。