このサイトは2001年〜2007年に取材、掲載したものです。現在の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

佐々木長生さん

▲佐々木長生さん

屏風

▲昔の農作業風景が描かれている屏風。貴重な資料。

伝馬船

▲伝馬船。双葉郡浪江町請戸の漁船。

かさぼこ

▲かさぼこ。子供の成長を祈る民具。

景観

▲博物館景観

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福島県立博物館

会津若松市城東町1-25
TEL0242-28-6000 FAX0242-28-5986
営業時間/9:30〜17:00(入館16:30まで)
休館日/月曜(祝日は除く、祝日の場合は翌日)
    8月14日(月)、8月21日(月)は営業
常設展観覧料/一般260円 小・中学生・高校生無料

原始から現代までの福島県の歴史が学べる
総合展示室

ここでは、福島県の歴史や文化、民俗資料などを実物資料を中心に展示しています」学芸員の佐々木長生(たけお)さんが、たくさんの資料を手にしながら話をしてくれた。
「原始から現代までの県の歴史が学べる総合展示室です」自然や民俗を紹介する部門展示室などもある。「テーマをしぼった企画展は、年数回行われます。収蔵資料展も見逃せないですね」
体験学習室は、子どもから大人まで楽しめるという。

「ひとつひとつの民具の前に立つと、
話し声が聞こえてくる」

佐々木さんは民俗学の学芸員だ。「展示資料や収蔵庫の民具には、多くの人の心が生き続けています。その民具の前に立つと、その話し声が聞こえてくる。博物館、民具、そして人々の心を結ぶことが学芸員の仕事です」と言う。
佐々木さんは南相馬市鹿島区出身。昭和48年に猪苗代湖畔の会津民俗館に学芸員として勤務する。
「雪の少ない浜通りから雪国会津での生活は大変でした。自然環境が全く違いますからね」雪囲い、松の木の雪吊り、屋根の雪下ろし。「民具を使い、それらのコツを教わりました。今思えば、生きた民俗体験でしたね」と当時を振り返る。
昭和60年、福島県立博物館に赴任。以来、21年目になる。
「平成2年から5年まで、南会津郡只見町で町史民俗編の調査と執筆をしました。民具を通じて古老たちから多くの知識と自然との関わりなど、机上では得られないことを教えていただいた。その結果、『図説会津只見の民具』として出版することが出来ました」以来、只見町を研究フィールドとするようになる。

「会津西街道30キロを5時間半かけて歩きました」

佐々木さんは数年前に体調を崩した。実は奥さまは看護士さん。
「糖尿病だと言われましてね。家内のすすめで歩いて治そう、そう決心しました」
奥さまの管理のもと薬を一滴も飲まないで体重を一ヶ月で78kgから69kgまで落としたという。その後も歩くことは佐々木さんの日常には大切なことになる。
学芸員としての研究分野で論文などの執筆活動が多い日々。
「歩くとものが書けるのです。歩いていると自然にいろんな考えが頭に浮かびます。それをメモにとりながら歩くのです。最近は朝起きてすぐに夢でみたことを書く。2Bの鉛筆で歯磨き粉のチューブをひねり出すように書く」と言う。
「いつだったか、散歩に行くと言って出かけ、そのまま大内宿方面へ35キロほど歩いてしまったことがあります。その時はさすがに家内に怒られましたね」佐々木さんはいたずらっ子のように笑った。

尊敬する人は両親。好きな言葉は愛。

「父は学校の先生で歴史を教えていました。小さい頃から父の影響を受けましたね」優しい人で声をあげて怒られたことは一度もないという。
「母は厳しく愛情豊かな女性でした」尊敬する人はとたずねると即座に「両親です。もう亡くなりましたが」と答えてくれた佐々木さん。「好きな言葉は愛です」うやまう心、感謝する心は愛につながっていく。
「そして文章はどんなものでもラブレターを書く想いで書くのですよ」と声を秘そめ教えてくれた。