このサイトは2001年〜2007年に取材、掲載したものです。現在の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

観音堂

▲観音堂/茅葺き屋根の観音堂。
国の重要文化財に指定されている。

仁王門

▲仁王門/仁王門を通り抜けると境内へと道が続く。正面に茅葺き屋根の観音堂が見える。

菩薩

▲十一面千手観音菩薩像
想像を越えた迫力のある千手観音菩薩像。
国の重要文化財に指定されている。
拝観料/お一人様300円
拝観時間/9時から16時

銀杏の樹

▲銀杏の樹/樹境内には、かしわの樹のほかに大きな銀杏の樹がある。
樹を見上げていると安堵感に包まれていく。

こけし

▲旧五十嵐家住宅/昔の暮らしを今に伝える農民家屋。
お問合せ先/会津坂下町教育委員会
電話/0242-83-2234
開館期間/4月から12月
開館時間/9時から16時
休館/月曜日・祝日の翌日・年末年始

地図

会津ころり三観音 立木観音 恵隆寺

福島県河沼郡会津坂下町大字塔寺字松原2944
TEL0242-83-3171

仁王門から境内へ。

仁王門を通りぬけると境内へ続く道がある。清め水で口をすすぎ手を洗う。「清浄水。安心して飲める天然水」と看板にある。250年前に掘られた井戸水は、柔らかな口当たりでくせがなくおいしい。容器を持参すれば持ち帰ることもできる。
正面には茅葺き屋根の観音堂があり、いにしえの面影が漂う。「一年に一回、茅のふきかえをします」とお寺の方が話してくれた。「ここ坂下町は茅葺き屋根の家が多いんです」茅葺き屋根の上にトタン屋根をのせている家もあるという。この御堂は国の重要文化財に指定されている。
境内には、ひときわ目をひく大きな樹がある。樹齢800年のかしわの樹だ。側にあるベンチに腰をおろし、あらためて樹を見上げると大きな安堵感に包まれる。言葉が消え、頭の中がからっぽになった。
足元に2羽のニワトリが歩いてくる。草をついばみながら人の存在など気にしない様子で、つかずはなれず境内を散歩している。
仁王門の方に目をやると若い女性たちが歩いて来た。ニワトリを見つけると嬉しそうな声があがり、数人であとをついていく。初秋の午後の境内におだやかな風景が広がる。

息をのむ「十一面千手観音菩薩像」。

立木観音は金塔山恵隆寺の境内にある観音堂の本尊で、会津ころり三観音のひとつで人々の信仰があつい。苦と死への恐怖を和らげるために、クシをはじめピンやブラシの奉納が多く、だきつき柱に抱きついて心願するとどんな願いもかなうといわれている。
今は昔、本尊「十一面千手観音菩薩」は、大同3年(808年)に弘法大師(空海)が観音菩薩の霊感を受け、根が付いた状態(立ち木)で巨木の枝を切り、彫刻されたことから「立木観音」と伝えられている。
御堂に入ると空気がひんやりとして心が落ちつく。太古の香りというのだろうか、なにかしら気が存在する、そんな独特の空気に包まれる。
目の前の本尊千手観音の姿に息をのむ。その巨大さは想像を越えた迫力があった。凛とした面立ち、合掌のカタチ、立ち姿、その全てに圧倒された。心を奪われるとはこのことだろう。
身丈8,5m、一本彫りで根の付いている仏像としては日本最大級だという。眷属の28部衆、風神・雷神は、身丈2m弱の大きさ。これら30体の仏像が観音像を中心に安置さている。いにしえの空気がかもし出す宗教美の世界は人の心をとらえて離さない。千手観音像は国の重要文化財に指定されている。

昔の農家の生活が見られる
「旧五十嵐家住宅」。

立木観音のすぐ近くに、国の重要文化財に指定されている「旧五十嵐家住宅」がある。
江戸時代中期(400〜150年前)の寄せ楝造りの茅葺きの家屋で、会津平野部の中規模農民の生活を知ることができる。馬屋、土間、居間、寝間と続き、トイレなども見られ興味深い。居間には囲炉裏があり当時の暮らしぶりを感じとれ、昔の時代にタイムスリップしたかのように思える。
見晴らしのいい高台の広い敷地内にあり、畑にはとうもろこしやナスが収穫の時を迎えていた。