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会津全集2006年第15巻お参りに行こう/07「慈愛不動」慈恩寺
本堂

▲観音堂/町の中にある簡素なお堂。
お寺の裏側には墓地が広がり、彼岸を過ぎたお墓にはお花が供えられていた。

門

▲お寺の入り口/桜の木が電柱を抱え込むように立っている。

観音堂

▲観音堂の屋根/古い木彫の飾りは見ていると心が落ちつく。

七行器行列

▲祇園開館 七行器(ななほかい)行列/会津田島祇園祭で最も厳粛で華やかな七行器行列のイメージを体感できる。

大屋台

▲祇園開館 大屋台/祭りの夜を賑わす4台の屋台の特徴的な部分を取り入れ、原寸大に復元した大屋台。

地図

会津若返り五色不動尊
「慈愛不動」慈恩寺

福島県南会津郡田島町中町
TEL0241-62-2668

暮らしに溶けこむ町の中の簡素なお寺。

真言宗、慈恩寺は室町期に創建し、その後衰退したが高層良叶が再び盛んにしたと伝えられる会津田島の古い密教道場である。本尊大日如来の前仏である不動明王は「慈愛不動」と尊称され、会津若がえり五色不動尊のひとつとして人々に信仰されている。
慈恩寺は町中の通りに面したお寺である。
入り口には桜の木が電柱を抱えこむように2つに分かれ立っており、その姿は人々の暮らしを守っているように見える。
門をくぐると「慈恩寺へ参る心は たのもしきねがいし 法に逢ふは一念」と書かれている石碑があり、ひんやりと静かに止まった空気が喧噪のまとわりついた心と身体を迎えてくれる。
本堂の裏側に墓地が広がる。彼岸が過ぎたばかりのお墓には花が供えられ、人々がお参りをした名残りがそこここにある。
本堂は、くすんだ金色の「山命養」の文字が美しい質素な御堂である。古い木彫の飾りはシンプルで見ていると心が落ちつく。薄日の射す境内には、近所の犬の鳴き声、子供たちの遊ぶ声、おばさんの笑い声が聞こえてくる。町の中の簡素なこのお寺には、人々の暮らしの中に溶けこむようなあたたかさがある。

本堂の階段に小鳥が眠る。

本堂の木の階段の上に、小鳥が横たわっていた。
まるでお寺に身を捧げるように息絶えている。
ふっくらとした白いお腹と細い2本の足を天に向け、小鳥はまだ生きているような愛らしさを残していた。
小鳥はあの桜の木の枝で遊んだろうか。水場でのどをうるおしただろうか。境内の光りの中で仲間たちとさえずり、夕方になるとねぐらに帰る日々を過ごしたのだろうか。小鳥の一生はどのくらいなのだろう。
やがて秋の夕暮れの境内を西日が照らし、町の通りもにぎやかになりはじめた。

田島の祇園祭りを再現。

西会津田島駅から歩いて約3分のところに、「会津田島祇園館」がある。
800余年の伝統を誇る「会津田島祇園祭」(国指定重要無形民俗文化財)を年間を通して紹介できる展示館として生まれた。
会津田島祇園祭は、京都の祇園祭と並び、日本三大祇園祭のひとつに数えられている。
毎年7月22日から3日間開催され、町内外から約90000人の観光客が訪れるという。「田島祇園祭の見どころは、七行器(ななほかい)行列です。花嫁行列とも呼ばれている古式ゆかしいもので、行列は100人位続くんですよ」と職員の方が話してくれた。
館内には、七行器行列の一部が等身大の人形やロボットで演出されており、祭りのイメージを体感できる。
また、祭りの夜を賑わす大屋台が復元されており、舞台では子供歌舞伎がロボットによって演じられる。

●お問い合わせ先
 福島県南会津郡田島町字大坪30-1
 会津田島祇園会館
 電話0241-62-5557
●会館時間 午前9時から午後4時30分
 冬期12月から3月まで毎週火曜日が休み
●入館料金 大人500円、小人300円(高校生まで)