このサイトは2001年〜2007年に取材、掲載したものです。現在の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

会津全集2006年第15巻お参りに行こう/04「出発不動」如法寺
観音堂

▲観音堂/手入れの行き届いた境内に立つ観音堂。

出発不動

▲出発不動/本尊不動明王は「出発不動」と尊称されている。

鐘つき堂

▲鐘つき堂/平成3年NHK「ゆく年くる年」に登場した鐘つき堂。

仁王茶屋

▲蕎麦屋「仁王茶屋」
斉藤清画伯の版画のモデルになったお蕎麦屋さん。
店内は広く、会津名物のたまりせんべいや餅あられなどのおみやげも置いてある。
住所/福島県耶麻郡西会津町野沢如法寺乙
営業時間/10時30から3時 不定休

そば

▲野菜の天ぷらつきざるそば
ざる、山菜、天ぷら、なめこのそばが、それぞれ600円。大盛りは750円。
にしんの天ぷらは250円で食べられる。

地図

会津ころり三観音「出発不動」如法寺

福島県耶麻郡西会津町野沢字如法寺
TEL0241-45-2061

「如法寺に山桜あり」春には愛らしい花をつけるいにしえの桜。

西会津町野沢の如法寺は平安朝大同ニ年(807)徳一大師が開創。後、真言宗となり本尊に不動明王をまつる会津西方の代表的密教根本道場である。会津若がえり五色不動尊のひとつで「出発不動」と尊称されている。
仁王門の前に樹齢300年になる山の古木がある。春になると淡いピンクの小さな花びらをたくさんつける。「如法寺に山桜あり」とまでいわれる愛らしく優しい姿に人々は、ものをいわない静かな自然の力のようなものを感じるだろう。
近年は、若い女性の参拝者が増えているという。「以前は団体で年配の方が多かったのですが、今は個人か小グループでゆっくり参拝される方が多くなりました。参拝者にはできるだけ話しかけるようにしています」自分の胸の想いを熱心に話していく方や、御仏に一心に祈る方もいるという。「自然に囲まれたお寺で誰にも気兼ねなく祈り、話をしていると心が落ちつくのでしょう。多くの方にお寺に親しんでもらいたい」と住職はいう。

住職のつとめは人に安心をあたえること。

どう生きていいかわからない。そんな思いを抱え如法寺を訪れる人も少なくはないとういう。
「家族や病気、仕事、人生の深い悩みを抱える人たちが多くいることに驚かされます」住職は言葉を続ける。「ひたすら話しを聞いてやり、それから祈りを捧げる。住職のつとめは人々に安心をあたえることだと思っています。御仏に生かされている自分の命の大切さを気付かせる。それがなかなか大変なことなのです。人の心を救うのはむずかしい」。
住職はそんな方に手紙を書くこともある。「話しを聞いてもその場で返す言葉がない時があります。しばらくしてから手紙で私の思いを伝えます」そんなやりとりのあとにお礼参りに訪れる方がいる。「うれしいですね。ありがたいことです」。
小さい頃から宗教心を育てることも大切なことだと住職は言う。「大層なことではないのです。日々の生活の中で自分を大切にし、あたりまえのことに感謝することです」。
今、地域の中学生にお寺での体験学習を通して生命の大切さを感じとってもらおうと宗教的情操教育に情熱を傾けている。もちろん、大人たちへの面白い法話にも余念がない住職である。

斉藤清画伯の版画のモデルになったお蕎麦屋さん。

版画で有名な斉藤清画伯が蕎麦を食べに立ち寄り、待ち時間にスケッチしたこの店構えが、やがて版画のモデルになったそうだ。
「ボケ防止にやっているんだよ」お寺のすぐそばで、お蕎麦屋さんを営むおじいさんとおばあさんは言う。「仁王茶屋」のご主人は78歳。「おじいさんは耳が遠くてね」と元気な声で話す奥さんは75歳だというから驚く。
ご主人は毎朝6時に起きて蕎麦をうつ。「今年のお盆は忙しくさせてもらいました」と奥さんは汗をかきながら天ぷらを揚げる。名物「野菜の天ぷらつきざるそば」は地粉100%で600円。安くて美味しい。こんな店が近所にあったらわたしは毎日でも通いたい、そんなお蕎麦屋さんである。