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会津全集2006年第15巻お参りに行こう/05「離脳不動」龍興寺
観音堂

▲観音堂/広い境内に凛と立つ観音堂。

屋根

▲屋根/美しい模様に目が奪われる。

蓮

▲蓮/花弁は透けるように美しい。
花の見頃は、6月から7月中旬にかけて。
今年は7月10日あたりが最も美しかったという。

焼菓子

▲天海大僧正 焼菓子/1コ105円。10コ1200円から。
お問い合わせ先/吉原製菓
住所/福島県大沼郡会津美里町字高田甲3034
電話/0242-54-3247
営業時間/8時から19時 不定休

らーめん

▲天海大僧正 らーめん/7食入り(スープ付き)1,000円(送料別)
お問い合わせ先/新丸屋
住所/福島県大沼郡会津美里町字布才地637-4
電話/0242-54-5712

地図

会津若返り五色不動尊
「離脳不動」龍興寺

福島県大沼郡会津美里町字龍興寺北甲2222-3
TEL0242-54-2446

泥の中から美しく咲く
蓮の花のようでありたい。

花の季節にはどんなに美しいだろう。
龍興寺は蓮の花のお寺として知られている。訪れたのは夏の終わりで花の節には遅く、蓮の葉が池をおおっていた。大小さまざまな葉の間には蓮の花の名残りがいくつも顔を出していた。
昔より蓮は「花見る人多く、泥見る人少なし」と言われているが、蓮は泥に咲く花。現住職が14歳で入寺し小僧つとめの時に見た、一字蓮台法華経の「蓮」に興味を持ち近年、境内の一隅に蓮池「華芳園」が造成された。
蓮池は本堂の北側、駐車場のすぐ側にある。池の回りには散策できる小道があり、そのまま本堂の裏側へ出られる。水面には柔らかそうな水草が浮かび、池のふちには小さなうす紫の花が風に揺れている。カエルがいっぴき蓮の葉でひと休みしていた。

「国宝・一字蓮台法華経」
一字一字に祈りを込めて。

天台宗、龍興寺は平安朝嘉祥元年(848)慈覚大師の開山。中尊の不動明王は「離悩不動」と尊称され、会津若がえり五色不動尊のひとつである。
この寺には、国宝・一字蓮台法華経が納められている。心を集中して書いた美しい写経である。一つ一つ字の下には、朱、金、青、緑、白とそれぞれに彩色された蓮台が描かれている。今からおよそ800年前のもので、法華経と開経・結経(序論と結びにあたる経典)が書き写してある。一字ごとに祈りを込めて書く願経で、命を捧げて写経した人々の極楽浄土を現したいという願いが強く感じられるという。
本堂内に、一部を撮影して印刷したものが展示されている。

天海大僧正の好物は
「枸杞(クコ)飯」だった。

天海大僧正は会津高田町に生まれ、11歳の時に「龍興寺で出家したい」という強い望みを抱き仏門に入ったという。武田信玄の天台宗の教義の師匠をつとめ、晩年には徳川家康、秀忠、家光と三代将軍につかえた。
日光東照宮や上野の寛永寺の建立に携わり、我が国最初の大蔵経を刊行したことでも知られている。
寛永20年、108歳で歿し、龍興寺境内には天海大僧正の父母の墳墓がある。
108歳まで長生きした元気の素は好んで食べていた「枸杞飯」だったといわれている。

枸杞(クコ)は、ナス科に属し、淡い紫色の花をもち秋には真紅の実を結ぶ。
ビタミン類、ルチン、フラボノールを多く含み、強精強壮、疲労回復、健胃整腸、高血圧などに効果がある。
中国では古くから漢方薬としても用いられている。
長命の天海大僧正に因んでつくられた2つの会津高田名物を紹介しよう。

●吉原製菓 天海大僧正
 枸杞の実が入った焼き菓子。
 昭和59年、全国菓子大博覧会で名誉金賞を受賞する。

●新丸屋 枸杞入りらーめん
 枸杞の実を練りこんだ麺。
 現在は小売り・地方発送のみの販売で、贈答品に喜ばれている。

※大沼郡会津高田町は、平成17年10月から「会津美里町」になりましたが、本文中では、会津高田町で記しております。